ざぁ、とさくらの花びらが舞って、視界が悪くなる。


だから、周りの風景が歪んで見えるのだろう。


剣を握った手から力がスッと抜けていく。


そして何故か心臓がひどく痛む。死んでしまいそうなほどに。


羽があったら、治るのだろうか。力を持ったあの羽ならば。


そうだ、羽を集めないと。


折角、力を、右目を得たのだから。

 あれ



俺 は 


だ  れ  の  た  め  に 



さくら





あれ

 


なんだ



しんぞうが


ちがう


むねが         


いたい


ふわり。


まるで花びらのように、少女が倒れた。


ぼろぼろと崩れていく体は、漂う花びらになっていく。


「あなたが、」


“さくら”が、


「す」


ざぁ、とさくらの花びらが舞い散る。


伸ばした手に、一枚だけ、のった桃色。



むねが




い た  い






自分に耳に聞こえた音は、ほかの誰でもない声だった。

 

 

舞う、舞う、しみを覆い隠すように


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