納得、したのだろうか。

 

相変わらずうつ伏せのまま寝ている男を見ながら、ふと思った。

 

こちらの顔など見たくも無いといわんばかりに反対方向に顔を向けているので、左目は見えないが、その目の闇は今も脳裏に焼きついている。もちろん、死に掛けていたあの時の情景も。

 

死なないのではなく、死ねないその男にとってあの時、安堵したのかもしれない。コレで楽になれる。と。

 

理由があって、仕方が無いで終わらせることができるのだから。

 

男に近寄って髪を触ると軽く身じろぎしたが起きる気配は無い。

 

以前はこまめに切っていたというのに今は後ろでいつも結んでいる。自分の世界では失恋したら髪を切るなどと言うふざけた

 

女だけの風習があったが、この男の世界でも何かあるのだろうか。例えば、恨みを晴らすまで髪を切らないなどの。 

 

「恨んでんのか」

 

声をかけても起きない。さらさらと流れる髪を手持ち無沙汰にもてあそぶ。

 

さらさら・・。

 

はぁ、と1つ溜息をついて自分も寝ようと寝床に足を向ける。そのとき、

 

「・・・・・・・」

 

「あ?」

 

なにか喋ったような気がした。寝言だろうか。少し待ったが続きは無さそうなので足のついた布団おきの上に横たわる。

 

いつか、前のように自分に笑い顔を見せてくれるのだろうか。前は胡散臭いと思っていたあの顔も、自分にむけられることの無くなったので今と前と、どちらがましかと思う。しかし自分で決断してこうなったのだと言ってしまえばそんな考えなど無意味なのだ。

 

ふぅ、とまた1つ溜息をつく。コレで何度目だろうか。

 

溜息の余韻が終わると部屋には何の音もしない。もう他の2人と1匹も寝たのだろう。

 

「・・・くろりん・・・・・」

 

一瞬耳を疑った。しかしこの声は紛れも無くあの男の声だった。首を回して見て見ると、男の右手が僅かに動いて、何かにしがみ付くような動作をした。たぶんそれは以前後ろから突進してきた時や、2人きりになって甘える時と同じ動きだった。

あぁ、くそう。

それだけで、恨みだとか納得だとかそんなものを吹っ飛ばして抱きしめてやりたくなった。

 

 

 

寝ているときの本

 

 

 

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でもインフィニティって部屋どうなってたかうろ覚え\(^〇^)/

 題名にセンスが無いのは生まれつき!

 

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