ごとんっころり、ころころ・・・
「いけないっ」
手から落ちたカップを急いで拾う。欠けてはいないかと回転させてみたが、大丈夫なようで、ほっと息を吐いた。このカップはファイが以前おそろい!と買ってきたものだから、1つでも欠けてしまうときっと残念がるだろう。
そのおそろいのカップおもむろにをコトリ、コトリと並べていく。
黒鋼の赤色のカップ
小狼の黄緑色のカップ
自分の桃色のカップ
そして
「ファイさんの白色のカップ・・・」
何故だろう、明るい色のカップが酷く淡白に見えて、脆く見えて、心配になる。
このカップの持ち主も同じように感じられて――。
どうか、どうか。
皆が笑っていられるような、幸せな未来がありますように。
どんなに辛いことがあっても、それを乗り越えられますように。
どうか、どうか―――
幸せを願う。
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サクラちゃんの話。ふとしたところで切ないことを思っていると思う。
ていうか今単行本を読み返すと切なすぎて切なすぎて・・・
たぶん桜都国の話。