可愛いワンピース・・・。

そう呟いた隣の少女の瞳に、一枚の水色のワンピースが映っていた。所々に細かいフリルがついているそれは、人々に「可愛いけど自分には似合わない・・・」と溜息をつかせること多々の物だった。そして少女もまた頭の中で「私には」と口には出さないけれど、諦めの言葉が出ていた。1つ溜息をつくと、伸ばしかけた右手を左手で包み込み、他のところへ行こうと脚を動かそうとした時、

「わぁー可愛い服だねー」

横から魔術師がひょいっといとも簡単にワンピースを手で持つと、ひらりと広げて見せた。

「ファイさん」

「コレが欲しいんだねー?」

サクラちゃん、これじっと見てたしー。というと少女の肩に、ワンピースの肩をくっつけて、サイズは大丈夫そうだねー。と言って、レジへ向おうとした。

「あっあのっそれっ・・・いいんです!」

焦って魔術師の服の裾を掴むと、口早にそう告げた。すると、きょとんとした顔で

「なんでー?」

と言った。顔には本当に何故?という感情しか浮かんでおらず、少女は慌てて、

「あの、その服、可愛いですけど、私には着れないし、それに・・・」

と言いながら、魔術師の手からワンピースを引っ手繰った。この服は、自分なんかが着ていいものではないのだ。ということを分かって欲しくて。でも、握って少ししわのできた服は、それでもとても可愛くておもわずじっと見てしまった。その様子をみて魔術師はくすりと笑うと、こっちこっちと鏡の前に少女を手招きした。

鏡の前に立ったきょとんとした顔の少女の肩に、ワンピースの肩をぴったり合わせる。そして、うん、と1つ頷くと。

「やっぱり、可愛いよー」

と言った。

「はい。このリボンとかが・・・」

「そっちじゃなくて、サクラちゃんが」

「えっ」

ほら、といって魔術師が前から退くと、鏡に驚いた顔のワンピースを着た少女が映っていた。いつも桃色や、黄色などの服を着ていたから、不思議な感じがする。でも、思っていたよりは悪くは無い。気がする。でも、まだ自分には・・・という想いが拭えなかった。

「お世辞抜きに、すっごく似合ってるよー」

「そんな」

「ちょっと待っててねー」

ぱっと素早くワンピースを掴むと、止める間もなく走ってレジまで行って、店の名前の書かれた袋を掲げて戻ってきた。

「もう買っちゃったからサクラちゃん、着てね」

にっこりと笑う魔術師に袋を手渡された少女は、顔を真っ赤にして、似合いませんよ。いいんですか。私には持ったいないです・・・。と言っていたが、もう買っちゃったし、それにすごく似合うよー。可愛いよー。といわれて、最終的には、少女は、ありがとうございます。と微笑んだ。

少女が歩く度にゆれる袋の中身のことを考えると、自然に頬が緩んでしまうのを止められなかったのはいうまでもない。





 

命短し、挑めよ





 

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何サイトだよー・・という突っ込みは全力でスルーさせていただきます。うん。

フ ァ イ が す き な ん で す 。(知るか

 

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