ずいっとこちらに差し出された桶と知世の顔を交互に見ながら、言った。

「なんなんだ、おい」

すると、花が咲くようだ。と数多の人間から誉めそやされる笑顔で、

「聞いたところによれば、ファイさんは生のお魚が嫌いだそうですね」

と上品に応えた。これは何かあるなと、思いつつ、あいつの名前が出たことが少し引っかかるので、しょうがなく最後まで聞いてやることにする。

「ああ」

知世が、なので・・・・と言っているときに、素早く俺の手に、桶をいつの間にか握らせていた事に気がついた。

正直に言うと、この国で一番強いのは、俺、のはず。だが、実はコイツがこの国で一番強いんじゃないのか。と最近思い始めている

「それを克服するために美味しい魚料理を板前さんに作ってもらおうかと・・・。一回とても美味しいものを食べれば好きになっていただけるのではないかと思いまして」

「それは分かったが、なんで俺がとってこなくちゃならん。適当に他の奴呼びゃあいいだろうが」

「まぁ黒鋼ったら。わからないのですか?愛の力ですよ」

「あ?」

「愛の力です。あ・い。どれだけ魚が嫌いでも、思い人の獲った魚なら食べてくれるでしょう?」

そんなことを言ったって、アイツだってもうキライなものでも食べることのできるくらいは大人だ。めちゃくちゃうまそうにとまでは言わなくても。

「黒鋼、お願いです」

「といったって」

「あ、そうですファイさんは今日一日私のところで日本語を習いに来ますの」

ほほ、と上品に手を口に持っていって笑っているが、どうも腹黒くしか見えない。

「何が言いたい」

「まぁ、婦人に何を言わせるんですの」

信じられません!と言うが何なんだ。何をする気なんだ。言えないレベルのことって何だ。

追い討ちのように、ファイさんってとっても可愛らしい方ですよねと笑いかけられる。目が笑ってねぇんだよ。目が。

くそ、

「5匹くらいでいいのか」

「たくさんお願いします」

悪魔がにっこりと笑う。

「10匹?」

「たくさんお願いします」

魔王がにっこりと微笑む。

「どのくらいだって聞いてんだ!」

「全滅はさせないで下さいね。次に取れなくなりますから・・・」

全滅させる一歩手前ってことか!?怒鳴りかけた瞬間、そそくさとわざとらしくファイさんがいらっしゃいますので・・・と奥の部屋に消えていった。

 

 

 

 

とりあえず渡された桶に入る分だけ入れて来たわけだが。びちびちと魚がはねる桶を見ながら本日何回目かの溜息をつく。久しぶりの休みだったんだが、いつもより疲れた気がするのは何故だ。

「おい」

襖を開けると、林檎が大量にかかれた半紙と、あからま行の書かれた半紙が床に敷かれていた。知世が丁度スッとあいつから近い顔を離すところだったので、まさか何かしたのではと思ったが別段何があったわけでも無さそうなので安心する。

「あら、黒鋼ですわ」

「くろりーん!」

「おう」

反射的に返事を返すと、アイツがすくっと立ち上がった。

「ねぇねぇくろりん、」

何だ

「愛してるー?」

「は・・・・・・・・・・・」

俺が何かしたか?!不安にさせるようなことを!?それとも誘っているのかいやでもここには知世がいるし・・・

後ろで知世が面白そうに、あらあら黒鋼ったらやっぱり言って差し上げことが無かったのですね。と笑った。

 

 

 

 

 

 

の疎通はしっかりと

 

 

 

 

 

 

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知世姫の口調がほんとにわかんね\(^〇^)/

日本国永住エンド。

 

 

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