『 小狼が生まれて、
私が生まれて、
そこから世界が始まったの。
・・・・・・なんちゃって(><) メルヘン過ぎたかな////
笑わないでねっ』
「笑わないよ。俺、感動した。
すごい(・。・)」
『えへへ・・・。照れるなぁ』
「そういえば、兄さん達にメールした?」
『うん、さっきね。・・・・あっ誕生日プレゼント買い忘れてた(;_;)
どおしよう〜〜〜〜』
「あはは・・・・ってもしかして俺の分も!?
切ない(・_・)」
『小狼の顔文字、いっつも微妙に使い方間違ってる(笑)
小狼の分はね、実は・・・』
「実は・・・?」
『内緒♪(>v<)』
「脱力っっっ でも一応期待しとく」
『あっ小狼、いまお家にいる?』
「いないけど?」
『えっ!!』
「え? どうした? サクラは今家にいる?」
『うぇーーん(;_;) 内緒!』
「何で泣く!? 内緒ってどういうこと!?」
『内緒だもん〜〜〜〜〜(>^<)』
家にいないのかぁ・・・でも行くだけ行ってみよう。
えいっと携帯電話を閉じて顔を上げると、いつもより早めに開き始めた桜の花びらが、真っ黒な空と対照的に薄く光っていて、綺麗・・・と思わず呟いた。
深夜に外へ出るのは、何歳になってもドキドキするなと思って振り返って、いつも居るはずの兄が居ないことに不思議な感覚を覚える。
自分も大人になったなぁ。くすりと笑みを漏らすと、そういえば本当に誕生日を迎えて少し大人になったのだ、と気が付いた。
そのことが何だか嬉しくて、スキップのように楽しげに歩を進めると、曲がり角で、トン、と人とぶつかってしまった。
慌てて、すいません、と謝って顔を上げると、ぱっと目に飛び込んできたのは、
「小狼っ!?」
「サクラっ!?」
ごめん、大丈夫?と差し出された手をとって立ち上がると、二人して相手の家に行こうとしてたんだね、と笑った。
「そうだ、コレ」
綺麗にラッピングした袋をとりだすと、思いのほかびっくりした顔をしているので、逆にこちらがびっくりしてしまう。
「え、どうしたの?」
「いやだって、兄さん達のプレゼント買い忘れたって言うから」
てっきり俺のも買ってないもんだと・・・。といわれてしまうと立つ瀬がない。
おもわず、
「だって誕生日が一緒なんだもん!」
とほかの二人もそうだろと突っ込みの入るような屁理屈を言ってしまい、あはは、小狼が噴出すように笑った。
「有難う。それが逆に嬉しい」と言って右手をきゅうと握られた。
瞬間、ぼっと顔が火照るの分かったけれど、じっと相手の顔を見ると、そちらも真っ赤になっていることに気が付いた。
「送ってく」
「良いよ、もう遅いし。それに寒いでしょ?」
「遅いから、送ってく。こんな時間に一人歩きなんてするなよ。危ないんだから」
「だって」
小狼に会うことで頭が一杯だったんだもん。
小さく呟いた声に、小狼が、かっ・・・・と何かを言いかけて止めた。
「行こう」
「うん」
すっと優しく引っ張られる腕に、頬が緩む。
愛されてるなぁ。
おもわずそう思ってから、何言ってんだか、と自分で自分が恥ずかしくなった。
また一瞬だけ強くなった風にぶるっと、体が震えると、すっぽりと手を握られたままコートのポケットの中に納められた。
「誕生日プレゼント、一応あるけど、いる?」
「いる!」
勢いよく返事をすると、あはは、と声を立てて笑われたので、今の反応は子供っぽかったかなと唸った。
「誕生日おめでとう。サクラ」
「誕生日おめでとう。小狼」
うれしくて、二人ともふわり、と優しく笑った。
君と誕生日が祝えることが