カチッカチッ
規則正しく響く小さな秒針の音が聞こえるほど、教室は静まり返っていた。
今日は期末テスト最終日で、皆懸命に見直しのために解き終わった解答用紙に目を通しているのだ。しかし、しばらくしてから一回途切れた鉛筆の音が再び鳴り始めた。最終問題を解くために。
その最終問題と言うのが、5cm×10cmほどの大きな枠に、
「科学の授業、テストで思ったことをかいてください」
というものだった。隅には、色付けや絵などはなんでもいいです。という注意書きが書いてあり、点数配分はこれ1つで7点と大分逃したら痛い点数で、生徒は思い思いにペンや定規を取り出してかいている。
「終了です」
と教師が言った瞬間、キーンコーンカーンコーンとチャイムがなった。それを聴いて、後ろから解答用紙を集め終え、日直が号令をかけた。
途端に教室はざわざわと騒がしくなり、皆一様にテストが終わったという安堵した表情を浮かべていた。
教室の端で四月一日と小狼が他と同様問題用紙を持って話し始めた。
「ふぃー。終わったぁー。結構よかったかなぁ今回は。小狼君はどうだった?」
「うーん、俺は今回はちょっと」
互いに一番から分からなかった問題を言い合っていくと、徐々に四月一日の顔が曇っていった。
「前言撤回。俺今回はだめだー」
「そんなことないよ。あ、そういえば、」
小狼がテスト用紙の最終問題を指で押さえた。
「コレ、なんて書いた?」
「あぁ、なんだっけ確か・・皆で授業中作ったカルメ焼きが美味かったって書いたよ」
「俺も。まさか授業中に作るとは思ってなかったから印象が強かったし」
「ほんとだよね」
気体の説明の時にカルメ焼きを例に出したところ分かる生徒がほぼ居らず、次の授業でファイが砂糖、卵などを大量に用意し、全クラスでカルメ焼きを作ったのだった。
「まあ何を書いても、多分大丈夫だけどね。問題作ったのファイ先生だし。」
「先生らしい問題だよね」
そう、前も、その前もテストの最終問題は同じような問題で描いた人全員に花丸がついていたのだ。内容がなんであろうとも。
帰ってきたテストで出来る花畑を想像して2人は小さく笑った。
四日後には花束がやってくる