「くーろりんっ」

「うわっ」

突然背後からした声に柄にも無く驚いてしまった。いや、しかし、コレは驚かない方がおかしいだろう。何故かと言うと

「な・ん・で・お前はベランダの無い窓の外にいるんだ」

「えへへ〜」

そう、ベランダのある窓は向かい側の教室の中で、廊下側のこちらの窓にはベランダは無く、微妙に細いスペースがあるくらいだからだ。しかも、当然のこと科学教師が立っているのは人がいるべき場所ではないそこである。

「いや〜侑子先生がここ使ってもいいって言ったからさ〜」

「だからってわざわざ使うな!危ないだろ!!」

「わぁ。もしかして心配してくれてるー?めずらしー」

「うるせー!とりあえず中入れ!生徒に見られたらどうする気だ!」

「え〜。・・・良い子は真似しちゃだめだぞー!って言うかなぁ」

「そんな阿呆な話があるか!!」

ったく、と呟いて、腕を掴むがするりといとも簡単に抜けられてしまった。

(軟体動物かコイツは・・・)

はぁーと思い切り溜息をつく。こんな奴が教師でいいのだろうか。この学園・・・。

「黒様さー」

「あ?」

すっと開いている窓枠にに白く細い手が掛けられる。やっと入る気になったかと思ったが、一向に入ろうとしない。いつまでグズグズしているんだと思い声を掛けたら、

「おい、入るなら―・・・」

「オレがこっから落ちても助けてくれる?」

「っ!?」

予想もしない返し方。いつもの冗談だろうか。目を見れば大概わかるものだが、長い髪の毛に隠れて見えない。口はいつものように笑っているが。何故だろう。冗談とは聞こえなかった。まさか、本気・・・。

「なーんちゃってー!そんなことするわけ無いってー。黒りん、どうしたの?固まってるよー」

「て、めぇがいきなり変なこと言うからだろうが!!!!!」

「わー!黒わんころが怒ったーーー!逃げろー」

「なっ」

ふわっと一瞬浮くかと思うほど軽やかに、科学教師は後ろにジャンプした。手を延ばして掴もうとしたが、一寸足りなかった。今さっきのことは本気だったのか。と止めなかったことに後悔しかけた。が。

「ぴょーん!」

とんっと軽い音を立てて化学教師が着地したのは1m下の倉庫の屋根の上だった。身を乗り出して見なければ分からないので気付かなかった。

「馬鹿野郎!驚かせんな!」

「あれー?もしかして飛び降りるかと思った?心配性だな〜黒りんたは」

「うっせぇ。そんなモンがあるなんて知らなかったんだよ」

科学教師はわー先生のくせにーと言いながらまたぴょんと下に降りて見えなくなった。

余りにも自然に消える様子を見て、ふと、アイツがいきなり消えてしまうのではないかと思った。

今のようにふわりと飛ぶように何処かへ。

「おい!次からはちゃんとしたとこから来い!!」

自分の元に絶対帰って来い。という思いを込めて力一杯叫んだ。

 

 

 

れた思いこそ

 

 

 

 

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 いや、黒鋼さんには、俺から離れるんじゃねぇぐらいのこと言ってほしいですけど。

なんか家のサイトはたまに乙女入っちゃうかも☆(☆じゃない)

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